ミステリーの女王と呼ばれるアガサ・クリスティーの原作「親指のうずき」から作られたのが、「奥さまは名探偵」です。フランスの推理物の映画は謎解きだけでなく、コメディタッチのストーリーの持っていき方や、人物の風刺の仕方がハリウッド映画などとは少し異なり、情緒があります。そのため、フランスミステリーを愛好する人は少なくありません。この「奥さまは名探偵」もコメディ要素が入っていて、面白おかしくも謎解きを楽しめる絶妙な一本となっています。
「奥さまは名探偵」の内容は、老夫婦がメインとなって事件を解決していくというものです。老練な演技を見せるカトリーヌ・フロが主人公となる「奥さま」プリュダンスを演じ、その夫ベリゼールをアンドレ・デュソリエが演じています。この夫婦は、お金持ちが暮らす老人ホームにいた叔母を訪れます。その際、同じ老人ホームにいたローズという婦人に出会い、何とも言えない不思議な印象を受けます。その後、叔母が亡くなったため遺品を整理しに老人ホームに行くと、その直前にこのローズがいなくなったという知らせを聞きます。しかも、遺品の中にはローズから叔母にプレゼントされた洋館の絵がありました。それを見て、プリュダンすは事件の予感を感じ、ローズと絵の中の洋館を探しに出ることにしました。すると、この出来事の背景にはある大きな事件が関係していることが分かり、様々なことに巻き込まれていきます。
普通ミステリーというと若者が体を張って事件を解決していくものが多いですが、一人の老婦人が謎解きを行っていく姿はどこかコミカルで共感を覚えます。また、ミステリーの面白さとともにフランスの建物の素晴らしさや、田園風景の美しさもこの「奥さまは名探偵」の魅力を引き立てています。